10月22日に金華山東山麓を楽しむワークショップ(山歩き)を開催しました。
岐阜公園側からの登山道に比べてちょっとマイナーな東山麓をじっくり見てみよう! ということで、達目洞→大釜登山道→鼻高ハイキングコース→山頂→鼻高ハイキングコース→大参道ハイキングコース→達目洞ハイキングコース→達目洞、というマニアックなコースを設定しました。
岐阜薬大の田中先生、金華山サポーターズの柴田さんをガイドに歩く予定でしたが、参加者も哺乳類研究家の梶浦さん、森の自然案内人の垣出中さんや上村さんといったその筋の人揃いで、ガイドだらけの非常に内容の濃い山歩きとなりました。
<ツブラジイの倒木 大釜登山道にて>
尾根近くまで登ったところでツブラジイの倒木を見かけました。幹の太さに比べ、根の張りが極端に浅いことがよくわかります。金華山は山全体が硬いチャートという岩石の塊でできており、尾根近くの土壌は非常に薄いため、強風が吹けばこのように倒れてしまうこともあるんですね。
<山のおやつ ドングリ>
大釜登山道を登り詰めたところでちょっと一服。垣出中さんがフライパンで炒ったドングリを振舞ってくれました。アクが少なく比較的美味しく食べられるドングリとしてはマテバシイ、スダジイ、ツブラジイが挙げられますが、この日のメニューはマテバシイとスダジイです。因みにどちらも金華山で拾ったドングリではないとのこと。
ドングリを食べていた縄文人に想いを馳せつつ、もりもり食べます。「ちょっと古くなった甘栗」みたいな味で空腹時のおやつとしては大満足でした。
<鼻高ハイキングコース>
尾根道を進む鼻高ハイキングコースには急な岩場があります。比較的乾燥した岩場にはアベマキやヒトツバが目につきます。
<鼻高ハイキングコース 砦の跡>
山頂近くの尾根には砦の跡と思われる石垣があります。現在は周りに茂った木々に遮られ眺望がありませんが、その昔はここから金華山東山麓を見張っていたのでしょう。
<山頂にて>
登り始めてから2時間45分、予定より15分早く山頂に到着しました。普通に登れば50分くらいの行程でしょうが、このメンバーで歩くと金華山登山は1日がかりのイベントになります。
登山道の途中では所々で野生動物の痕跡も見かけました。
「梶浦先生! これは誰の落し物ですか?」、「テンやろ」。「この辺にテンがいるんですか?」、「おる」。各分野の専門家だらけなので、何でもその場で解決します。
<大参道ハイキングコース>
大参道ハイキングコースを下ってくるに従い、ツブラジイとヒノキの大木・高木が目に付きます。このあたりには金華山から流れ出した土壌が堆積し、大木まで育ちやすい土壌環境が整っているようです。しかし樹冠が鬱閉し、樹木は日光を求めて背を伸ばすので、木の高さに比べて幹が細く、枝の張りも狭いという特徴があります。
何度も歩いたことのある金華山ですが自然観察の達人たちと歩くと、あらためて実に面白い山だと感じました。この感動を多くの方々と共有すべく、当HPの『金華山辞典』もアップデートしていきますので、是非一度覗いてみて下さい!
自然環境課 吉村